自分の機嫌を自分でとるために

こんにちは。

こころの健康支援室 そらいろのmirineです。


以前、芸人のみやぞんさんが、テレビ番組で「自分の機嫌は自分で取って、人に取ってもらおうとしない!」と言って、多くの人に称賛されたことがあったそうです。

最近では「不機嫌ハラスメント」という言葉も聞かれるようになりました。

機嫌が悪い、怒っている、イライラしていることを態度でアピールすることで、周りを威圧し、コントロールして、他者から自分の望む行動を引き出そうとするかかわり方は、近年ますます未熟なやり方として認知されるようになってきました。


昔はしつけで済まされていたことが虐待と認識されるようになったり、距離を近くするためのコミュニケーションという認識だったものがハラスメントと認識されるようになる等、多くの場面で、する側にとって都合のいい認識から、される側の傷や負担をすくい上げる認識に変わってきています。
不機嫌ハラスメント、自分の機嫌は自分でとる、ということが取り上げられるようになったのも、まったく同じ流れにあります。
する方には思いもよらないことかもしれませんが、相手の機嫌をうかがい、相手の感情にコントロールされるつらさは、される方には非常に重たくしんどいものです。

多くの場合、こうした方法を本人も無意識に身につけ、無意識に使ってしまっているようです。
元々自分の親や身近な大人がやっていたやり方を自然と身につけて、自分の心を安定させるために無意識にしてしまっている。
自分が他者を脅かす形で自分の感情を利用して、不安定な心を慰撫してもらおうとしていることに気づいていないことも少なくありません。
そもそも、自分の今の心の状態に気づいていないこともあります。
自分で自分をケアする必要がないため、不安定な自分を意識しないで済んでしまうのです。
他者からのケアが間に合わず、不安定な状態に気づいてしまうと、「お前のせいで嫌な思いをさせられた」と他者を責めることもあるくらいです。

本来、精神的に成熟した人は、自分の機嫌は自分でとっているものです。
そのためには、自分の心の状態を的確に把握する能力と、自分をよい状態にするための方法を身につける必要があります。

日々細やかに自分の心の状態をモニタリングし、自分がどんな出来事に対して何を感じ、どんな感情を覚え、どんなことを思うのか、

不快な感覚や感情は、何によって喚起され、何によって増幅し、何によって緩和されるのかを知らなければなりません。

自分の機嫌を自分でとるということは、誰かが気づいてケアしてくれるのをイライラしながら待つのではなく、自分が今どんな状態で、何を必要としているのか、自分で気づいて自分で行動することが必要だからです。


自分で自分の不快な感覚や感情をケアできるようになると、「思い通りにならない不満」も少しずつ薄れてきます。

他者からは本人がどう感じて何を望んでいるのか的確に分からないため、他者がケアしてくれるのを待つスタンスでは、「思い通りにならない」と感じることが多いからです。


自分をケアさせるように他者をコントロールしようとせずに、自分で自分をコントロールする。

自分に関心を持ち、自分を知り、自分をいたわる。

「自分の機嫌は自分で取って、人に取ってもらおうとしない」


長く身についたやり方を変えるのは最初は難しく感じられるかもしれませんが、日々の生活の中で少しずつでも自分で自分の機嫌をとるやり方を練習していきたいですね。


かしこ


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